キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。
「あ……ごめん、無視してた?」
「うんやっぱ、何も聞いてなかったんだ。」
目の前には真っ黒な笑顔を浮かべたゆらな。
「ごめんって、ゆらなっ。許して〜!」
「もーしょうがないなぁ、いいよ。…でささっきの話なんだけど!澄星、寄り道してかない?」
切り替え早っ、まぁいいか。
それに楽しそうだし。
「いいよ〜どこ行く?」
「とりあえず駅の近くに行ってスイーツでも食べよ!」
甘いものに目がないゆらなは目をキラキラさせている。
ほんと、かわいいなぁ。
「っていうかゆらな、彼氏くんと部活は大丈夫なの?」
「あーうん!部活は休み。今日は叶飛、中学の友だちと遊ぶんだって。だから私も澄星たちと遊ぼ〜って話したから。」
「そっか。」
「うんっ!」
幸せそうなゆらなにほっとする。
ずっと全てに苦しんでいたゆらなだが、今では彼氏誘われ、バスケ部のマネをしている。
ゆらなもずっと苦しんで藻掻いて、誰も救えなかったのに、ヒカリを差し伸べてくれたのが今の彼氏くんだからね……。
「ほら、澄星着いたよ!食べ行こっ。」
「だねっ!」
はしゃぎ始めるゆらなの後を追いかけて走った。
__少し後ろの物陰ではこちらを睨むように見つめてくる男数人の姿があった。
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「あーっ、美味しかったぁ!」
「だねぇ、というかもうこんなに時間経ってたんだ。めっちゃ驚きなんだけど。」