キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。



「……私も帰ろ。」




1人になった私は静かになった寂しさを振り払うように駅の方向へと歩きを進めた。






「あ……そうだ、今日の夜ご飯何にしよっかな、」

すれ違う人の楽しそうな笑みを見ながら私はふと呟いた。




これは一人暮らしの唯一無二の楽しみだったりもする。



料理なんて面倒くさそうだが、やってみると案外楽しいものなのだ。
今だと麗琉くんによくお裾分けに行ったりもしている。




うーん、今日は何に……。昨日は牛丼で、その前が………あっ、オムライスか。

じゃー今日は久しぶりに和食系でも作ろっかなぁ……。



なんてゆっくりと歩きながら考えていたところだった。




そして、次の瞬間







____本当に一瞬だった。









「やっと、一人になったぜ。ほんと苦労した。」


 




目の前にいきなり現れた黒い影を認識した瞬間、私は気を失った。




倒れる私を抱きとめた男たちはにやりと笑ったのだった__


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