キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。
「……でもなんでそんな蓬莱が私を連れてくる必要があるの?」
「はぁ?…チッ、心当たりもねぇのかよっ!このクソガキッ!」
いきなりキレたように怒鳴り始めた金髪男。
はぁ?なんで、暴走族に捕まる心当たりがなきゃいけないの……
私、そんな裏の世界の人間と関わったことなんてないって……!
「お前に用はねぇ!お前を使ったのは、昼楽理世を捕まえるためだっつーの!」
再度怒鳴られてさすがに首を引っ込めるが、言われた言葉に違和感を抱いた。
ひるら……りせ……って言った……?この人。
……ちょ、ちょっと待って。
誰、それ。
「……私、そんな人知らない。」
誰かと間違えて私のこと拐ったんじゃないの?
「なわけねぇよっ!お前は今日の朝、あいつの車に乗り込んでったんだ、知らねぇはずがねぇんだよッ」
朝、車に乗り込んだって……それ。
私は今朝のことを頭に思い浮かべた。
今日乗り込んだ車なんて麗琉くんの車しかない。
でも麗琉くんの名前は平瀬麗琉であってひるらりせって名前でもないし……。
やっぱり、この人たちの勘違いなんじゃないの……?
麗琉くんがそのひるらりせって人に似てただけとか……
………ん?ひるらりせ…?
そう思ったが、若干違和感を感じて頭の中で文字を分解してみる。
ひらせりる
ひるらりせ
「……っ。」
思わぬ発見に静かに息を呑む。
もう少しで声を上げるところだった。
……。…え、じゃあ。やっぱ、この人たちが探してるのって……。
麗琉くんのこと、なの…?
ひるらりせ__
それは、ひらせりるのアナグラムだ。
……ねぇ、麗琉くん。あなたは何者なの……?
私は焦ってくる心でそう問いかけずにはいられなかった。