キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。



音もなく入ってきたのは、まるでこの世の全ての人間従わせるような……そんな、冷ややかな声を発した銀髪の男だった。


この1人の男が来た瞬間、周りの空気が変わったのだ。全てが凍りついたように冷えていく。

いきなりその場にいる人間全員が黙って怯えるような顔つきになったからだ。





「……と、冬威。早かったな。」



「あぁ、そりゃな。あいつの仇に近づけるって聞いたから。……で?こいつがあいつの女なのか?」


「…それはわかんねぇけど、今朝この女があいつの車に仲よさげに乗って行くのが見えたから1日つけて拉致った。」





ふぅん。

そう呟いたリーダー的存在の銀髪男がぎょろりとこちらに瞳を向ける。


まるで淡々と無機質で温度のない瞳だった。


無機質なのになぜか、金髪男よりも怖く感じる。心臓がバクバクと危険信号を送ってくるように高鳴ってくる。




……この男は危険だと、身体が告げている。





「……。おい、女。お前昼楽理世とどんな関係だ?……いや、あいつを今すぐ呼び出せ。」



麗琉くんのことだろうけど……私は、麗琉くんの中のひるらりせという存在を知らない。


それに知っていたとしてこんな奴らに話したくもない。




「……し、知らない。そんな人知らないから。まず知っていたとしてもプライバシーの侵害だから、知らない人に他人のこと教えるのなんてしたくない。」


「ハッ、綺麗事すぎて笑えるな。そんなん通じる世界だと思うのか?」


「思わないけど、私はそう思ってるから仮に知っていたとして教えたくはない。」



なるべく声が震えないように気をつけるが、気を抜くと本当に殺されそうなほど怖い。

……この人自体が。



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