未定

「へぇ、よかったな」

「まだ話してないよ。お願い聞いて。妹がコーヒーを差し入れてくれたの。愛理にはずっと嫌われていたけど、許してくれたのかも」

妹が入社してきた時に、不仲なのが悩みだと彼には打ち明けていた。

彼の視線がこちらに向く。

動画の視聴もやめてスマホをスラックスのポケットにしまったので嬉しくなり、張りきって続けた。

「今度、ランチに誘ってみようかな。コーヒーのお礼をしたいし、なんでもいいからとにかく話したい。私、愛理のことをよく知らないから……」

不仲とはいっても、以前は母を通じて妹の住まいや生活について知ることができた。

しかし母が亡くなって架け橋が外れると、連絡先もわからない状態になってしまい、それが二年ほど続いてどこでなにをしているのだろうと心配した。

その状況には戻りたくないので、この機会に愛理との距離を縮めたい。

「善は急げというから、休み明けの月曜日にランチに誘って――」

「やめとけよ。迷惑だろ」

嫌そうに顔をしかめた草尾に冷たく指摘され、肩を揺らした。

妹とのランチのどこがいけないのかわからず、困惑する。

「どうしてそう思うの?」

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