未定
今日は指示された仕事量があまりも多かったから、つい不満の目で見てしまった。

それが悪かったのだろうか。

「怒らせたのなら、ごめんね。今後はなんでも快く引き受ける。勇吾のデスクワークは私の仕事と思って頑張るから。他にも悪いところがあるなら直すよ。だからお願い、考え直して?」

縋りつく思いで訴えたのに、嫌そうな顔をされた。

「仕事じゃない。お前さ、俺と釣り合っていないと自覚してないわけ? たまには地味な女もいいと思って付き合ってみたけど、隣を歩かれるのが恥ずかしい」

そんなふうに思われていたのかと驚き、ショックが重なる。

草尾の指示でデートの際は横並びにならず、彼の後ろを歩いていた。

女性は一歩下がって男についてこいという亭主関白なタイプなのだと思っていたが、違ったようだ。

「もっと早く言ってくれたらよかったのに。これからは流行を意識した服装やメイクを心がけるよ」

ナチュラルなスタイルが好みなので地味と言われようとも変える気はなかったが、別れ話になるくらいなら彼好みの容姿を目指そうと思った。

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