未定
彼が飲み食いした分だけで六千円を超えているのにと呆れる。
(利用するだけ利用して、捨てたあともまだ利用する気だなんて、私って男を見る目がないな……)
ショックや悲しみに加え、悔しさも込み上げる。
唇を噛んでじっと手元を見つめていると、カウンター内からマスターに小声をかけられた。
「大丈夫?」
狭い店内に流れるピアノジャズは控えめで、他の客は静かに飲んでいる。
どうやら自分たちの別れ話が聞こえてしまったらしい。
「フラれちゃいました」
苦笑して恥ずかしさをごまかし、マスターにカクテルを注文する。
「マティーニをください」
「かしこまりました。しかし、草尾さんがあんな人だと思わなかったな。大丈夫、あなたは素敵な女性だから、もっといい男がすぐに現れます。今日は飲んで忘れてください。一杯、サービスしますから」
「ありがとうございます」
すぐに出されたマティーニは、逆三角形のグラスに注がれ、ピックを刺したオリーブの実が中に入っていた。
数口で飲めそうな少量だが、アルコール度数はかなり高い。
(利用するだけ利用して、捨てたあともまだ利用する気だなんて、私って男を見る目がないな……)
ショックや悲しみに加え、悔しさも込み上げる。
唇を噛んでじっと手元を見つめていると、カウンター内からマスターに小声をかけられた。
「大丈夫?」
狭い店内に流れるピアノジャズは控えめで、他の客は静かに飲んでいる。
どうやら自分たちの別れ話が聞こえてしまったらしい。
「フラれちゃいました」
苦笑して恥ずかしさをごまかし、マスターにカクテルを注文する。
「マティーニをください」
「かしこまりました。しかし、草尾さんがあんな人だと思わなかったな。大丈夫、あなたは素敵な女性だから、もっといい男がすぐに現れます。今日は飲んで忘れてください。一杯、サービスしますから」
「ありがとうございます」
すぐに出されたマティーニは、逆三角形のグラスに注がれ、ピックを刺したオリーブの実が中に入っていた。
数口で飲めそうな少量だが、アルコール度数はかなり高い。