未定
左側にはアイランドキッチン、右側には六人がけのL字形のソファと大きなテレビがあり、お洒落な壁掛け時計が八時五十分をさしている。

レコードプレーヤーもあって、古い洋楽のレコードが収納棚にたくさん並んでいた。

壁にも数枚、レコードのジャケットが飾られている。

レコードで洋楽を聞くのが趣味なのだろう。

素敵なリビングダイニングに一歩踏み出してキョロキョロと見回したが、彼はいない。

(出かけてる?)

緊張を解くと、ダイニングテーブルの上に朝食が用意されているのに気づいた。

お店で出されるようなきれいなオムレツと野菜たっぷりの冷製スープ、小さめのクロワッサンとカットフルーツの盛り合わせだ。

どうやら彼は料理上手らしい。

その横にメモ用紙が置かれていて、やや角ばった右肩上がりの筆跡でこう書かれていた。

『食べられそうなら朝食をどうぞ。体調がすぐれなけば無理しなくていい。俺は仕事があるから出社するが、菅野さんはゆっくり休んでいってくれ』

(土曜もお仕事なんだ)

自分のせいで寝不足にさせてしまったのではないかと気にした。

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