未定
『俺たちふたりの仕事だと思えばいい。お前が資料や見積もりを作れば、俺は新規顧客の獲得に専念できる。俺の成績が上がって順調に出世すれば、将来的にお前も助かるだろ?』

その時はまだプロポーズをされていなかったので、結婚を考えてくれていると知って嬉しくなり、それ以上の文句は言えなかった。

しかし、いくらなんでも今ふられた仕事量を今日中にというのは無理がある。

他にも通常業務があるので三、四時間ほど残業しないと終わらないだろう。

残業するには上司の許可が必要なので、理由をつけるのも大変だ。

相談しなければと草尾の席を見ると、重ねてメールが届いた。

【俺も今日はやることが多くて残業する。終わったら一緒に飲みにいこう。おごってやるから。その時に大事な話もある】

草尾との外食は割り勘か、明日香が支払うことが多い。

彼いわく、自腹で接待する場合もあっていつも金欠なのだそう。

珍しくご馳走する気でいるのは、仕事を手伝っている明日香に対し申し訳ない気持ちがあるからだと解釈した。

(私は勇吾の婚約者なんだから、助けてあげないと)

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