カオルちゃんと薫くん
「ミエちゃーん。腹減ったー」
そう言って我が物顔で上半身裸のままソファに座った薫を見てため息が出る。
薫くんちょっと待ってねー、なんて嬉しそうに返す母は息子でも出来たかのように嬉しそう。
明るい茶色のマッシュヘア。
一重なのに何故か大きく見えるアーモンドのような瞳。
色白で細身だけど少し筋肉質。
身長は170後半くらいだろうか。
薫はどこからどう見ても今どきの男子高校生。
「薫さぁ。もしかして二重人格?オンとオフの差がやばいよ」
私がTシャツをポイっと投げると、渋々袖を通した薫。
「お前には俺が二重人格に見えてんの?」
「そりゃそうよ。
学校でカオちゃーんとか言われて喜んでるのと、お風呂上がりに全裸で徘徊してるアンタ。
誰が同一人物だって言うの」
そう。カオルと薫は同一人物。
どちらも目の前でふんぞり返ってるこの男、市倉 薫だ。