義弟ディルドで処女喪失したらブチギレた義弟に襲われました

1.はじめての痛みは

 貴族には等しく魔力がある。
 今より遥か昔は純粋な魔法なんてものを使える人もいたそうだが、残念ながら既に失われてしまった能力だ。
 だが全てが失われてしまった訳ではなく、魔道具と呼ばれる魔力を蓄積することの出来る道具を媒体にして様々な魔法を使うことが出来た。

 もちろんそれらの力も万能ではなく、無から有を作り出すことは出来ない。
 だがその代わり、大気中の水分を使って防御魔法を展開したり、小さな火種を利用して大きな炎を作り出したり、逆に長時間消えずに燃え移らない光源を作り出したりも出来る。

 そして私は人一倍魔力が少なかった。
 だからこそ、少ない魔力でも役に立てるなにかを作ることに没頭し、気付けば令嬢でありながら研究員という職につく変わり者になってしまったのだ。

 だが後悔はしていない。
 私が研究員になったお陰で愛しい愛しいパトリスと出会えたのだから。

 彼との出会いは私が十六の時だった。
 魔力のあるひとりの孤児が魔法研究室へ預けられたのである。

(あの日の衝撃は忘れないわ)

 突然目の前に現れたオレンジがかった金髪の痩せ細った少年。
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