あの人との甘い夏

琉生との楽しい時間

「ねぇ琉生」
ある日私はそう彼の名前を呼んだ。
「なに?」
「琉生はなんで私なんかの為に毎週病室に来てくれるの?なんで褒めてくれるの?」
私はずっと不思議だった。みんなは私にマイナスなことしか言わなかった。それなのに琉生は毎週私のところに来てくれて勉強を一緒にしてくれたり話したりしてくれたし褒めてくれた。
「なんでって、菜々が心配で病弱でも明るくて一緒にいるのが楽しいから。それに頑張っている人を褒めるのは同然だろ?」
琉生は優しく微笑みながらそう言った。
「そっか、いつもありがとね!」
私は嬉しくて嬉しくてたまらなかった。こんな気持ちになったのは初めてだ。そして琉生にとびっきりの笑顔でお礼を言った。
「あぁ!」
琉生はとても嬉しそうにそう言った。
それから数日後、私は退院することになった。退院当日の土曜日、琉生はとっても喜んでくれた。この日は琉生と前に約束していた遊園地に行った。お友達と外で遊ぶのは初めてだ。ジェットコースターに観覧車、お化け屋敷などたくさんはしゃいでたくさんおしゃべりした。
「今日は楽しかったねー!琉生、今日はありがとう」
私は琉生にお礼を言った。
「楽しかったな!こちらこそありがとな」
琉生はにこにこしていてとっても嬉しそうだった。
「今度は琉生の行きたいとこ行こう!琉生が好きなところ行ってみたいんだー!」
「あぁ、いいよ。今度はおすすめの店連れてってやる。」
琉生はそう言った。
「やったぁ!絶対だからね!」
「約束する。その日まで絶対元気でいてくれよ」

今日から学校に行けると思うと胸が高まってくる。
「…流生と学校で会える!」
そう思うと少しかけ足になり、学校へと向かった。

学校に着くとまだ、人は誰もいなく私だけだった。
「私ってどこの席だっけ…?」
私はそう考えながら、教室の中を歩く。
「あ、これ、私の席だ」
そう思い、私は席に座った。

数分後になると、教室に入ってくる生徒が増えてきた。
また何か言われるかもしれない。
そういった不安で胸が苦しくなった、でも、流生と一緒にいるようになって、少しは楽しく思えるようになった。
だから、そんなことは気にせずにいこうと、心の中で呟いた。

「胡桃さん」
私は自分の苗字を呼ばれたことに気づき驚いた。

「え…は、い」
私は驚き返事がグダグダになってしまった。

「あ、当たってて良かったです。」
少しその子は安心気だった。

「私に何か…、?」
私はそうその子に聞いてみた。

「あの…流生先輩の知り合いなんですよね?」

「知り合い…、ですよ」
その子は、何かを決心したのかのように言った。

「私、流生先輩の事…」
あぁ、もうこの先は聞きたくなかった。
もう、何を言われるのかをわかってしまったからだった。

「…好きなんです」

返事に困ってしまった。
「、、そうなんだ。」
それ以外の返事が頭に浮かばなかった。
その子はとても可愛い子で、モテるんだろうなって思った。
流生も噂に聞く程度、モテるらしい。
「心配だから」
前、流生から聞いた言葉だった。
私なんかと一緒にいていいのかな?
流生はモテるから、私に構ってたら、逆に流生が言われるんじゃないかって思った。

だから、私はその子にこう言った。

「頑張ってね」
その子は少し嬉しそうな顔をしていた。そしてまた口を開いてこう言った。
「あの…、だから、少し…」

「流生先輩と関わらないでください」

「えっ…?」
私はとても驚いた。
「私、琉生先輩に告白しようと思うんです。なのであなたがそばにいると邪魔っていうかなんていうか…」
この子はそう言った。
そうだよね、私がそばにいると邪魔だよね…
「わかった、琉生とは関わらないようにする」
本当は嫌だったけど私にはそう答える他なかった。
「頑張ってね」
「はい、ありがとうございます。」
そう言ってあの子は行ってしまった。
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