あの人との甘い夏

学校での生活

「菜々、おはよー!」
私が顔を上げると嬉しそうに笑っている琉生がいた。
(関わらないように、関わらないように…)
私はあいさつしてくれた琉生を無視してしまった。
「菜々?どうかしたの?」
琉生が心配そうにこちらを見ている。
「ごめん、ちょっとお手伝い行ってくるね。」
私は焦って教室を飛び出した。本当は琉生ともっと仲良くしたい。けどあの子と約束してしまった以上関わらないようにするしかない。
ー琉生目線ー
「菜々、おはよー!」
俺は菜々にあいさつをした。けど菜々から返事が返ってこなかった。
「菜々?どうかしたの?」
俺は心配だった。菜々がまた体調を崩したのかと思ったから。そんな俺を振り切って菜々は
「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくるね。」
そう言って早足で教室を出てしまった。
(俺なにかしちゃったかな?)
そんなことを思いながら一日が始まった。
ー菜々目線ー
1時間目の授業が始まる。

ー流生先輩と関わらないでくださいー

さっき言われた言葉が頭をよぎる。
私はどうすればいいのかな。
でも、あの子の恋を応援するためにも、私は流生とは関わらないでおこう。
あの子の為になるから、
そう思いながら、先生の話を聞いていた。

「えー、ここの問題は…」

先生の授業を聞いて、板書したりするのは久しぶりだな。
なんか新鮮。
いつも流生のノートを写してたからな、
もう写せなくなるね、流生。

「じゃあ、ここの問題。流生で」

「お、俺っ!?」
先生に急に当てられ驚いている流生を見ると「くすっ」と笑ってしまった。
「え、えーと…、」
流生は、目を四方に彼方此方へと見ながら考えてた。
「え、えと、3x-13で、す」
流生は先生にそういった。
「正解だ!自信を持て!」
「はい」
流生は少し嬉しそうな顔をしながらそう返事していた。
これは、学校に行っている人でしか味わえない景色だな。

ずっと、ずっと、同じ病室に同じ景色だったから、学校はとても新鮮だった。

「これで授業を終わる」

「ありがとうございました」

普通に授業が終わってしまった。
「1時間目から数学は疲れるよな〜」

私の周りでそう話し出す男子達、私にとっては早く感じた。

次の授業の確認をする為、後ろに書いてある時間割を見ようと、顔を後ろにくるっと振り向かせた。

「んー...社会、ね」
私は次の時間を準備をしようと、ロッカーへと向かった。

社会の教材を取り、また机と戻っていった。
私は自分の筆箱からシャーペン等を取り出し、授業の準備をした。

「なーなっ!!今日の朝は大丈夫だったか?」

「流、流生!?」
私は急に話しかけられてしまってとても驚いてしまった。
「ははっ、驚きすぎな!」
そう言いながら流生は笑っていた。
そ、そうだ、関わらないように、関わらないようにしないと。
私はそう思い、流生のことをまた無視した。
「…菜々、?」
流生は少し心配そうな声でそう私の名前を呼んだ。
「ぁ…授業始まっちゃう!ほら、席について!」
私は、流生を心配させるのはどうかと思い、話をきった。
「ぉ、おう…」
流生はそう返事をし、席に座った。
< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop