忘れていた原因
「あたしはあんたの母さんの代わり。ほら、自分でむきなさい」

姉さんの胸は少し膨らんで、お股には毛がたくさん生えていた。ぼくは不思議な気持ちで、怖くなった。

「ほら。あんたできないのならあたしがむいてあげようか?中まで洗わないとばい菌がはいる」

「い、いいよ……ぼく、ひとりでやる……」

母さんが鬱で働けなくて、ずっと寝たきりだった。母さんの寝ている部屋からは動物の雄叫びのような声が聞こえてきた。

姉さんが僕の母さんの代わりだったけど、姉さんは僕の夢精したパンツも洗濯して、裸で一緒にお風呂に入って、それは、恐ろしい時間だった。





「なるほどね、それで貴方は、気の強い年上の女性しか恋愛対象に見れないのですね」

上坂先生は、カウンセリングで説明を始めた。

男性は、生涯で初めて、母親の愛を受けることで、愛情に関する常識を自分の中で作ります。

ですがあなたへ向けられたのは、気の強いお姉さんの干渉と性的な恐怖の出来事だった。そうですね?

ですが、お姉さんはお母さんとは違います。どんなにあなたが、お姉さんに似た人と恋愛をしても、かつてお姉さんがそうしたように、性的な暴力で、彼女たちが誘惑してきても。また、その仕返しにあなたがイタズラしても、満たされない。

「わかりますか?」

「はい」

「今日はここまでにしましょう」





ピロリン♬

「しおこの最高の変顔」

幼馴染で悪友のしおこから、Lineで変顔が送られてきた。しおこはでぶで、ぶすで、大阪のオカンって感じで、恋愛対象外だった。
だけど、なんだか安心して、僕は返信した。

「はいはい」

しおこのこと、好きだけど
これまで恋愛で傷ついてきたから進めなかった。でも、しおこは、いままでの子とはもしかしたら、違うのかもな、と思った。

「付き合わないけどね」

だって僕は、まだ心の整理がついていないんだ。

fin.
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