恋をしたのは姉の夫だった人
　優はいえと首を振るが、瑞樹はまるで探偵するような目で「本当……？」と再確認する。

「本当です」

「そうなんだ、もしかして、彼に恋愛感情を抱いていたりするの？」

「……え？」

「ごめん、唐突に……でも、知りたいんだ」

　優はつい先ほどまで不安と悲しみで胸がいっぱいであった。
しかし今は瑞樹の表情を窺い、不思議な気持ちが沸き起こる。
明らかに心配しているような顔つきなのだ。

「彼は元カレです」

　同級生と説明するか少し迷ったが、優は本当のことを伝えた。

「元カレ……？」

「はい。高校の時に付き合っていたんです」

「そうなんだね……ずっとこれまでも会っていたの？」

「いえ、高三で別れてからずっと会っていなかったんですが、つい最近久しぶりに再会して……食事に誘われたのでランチを一緒に食べました」

　これはおそらくあれだ。
瑞樹にとって優は妹のような存在なので、兄の立場でいる彼からすればきちんと相手を見極めておきたいという気持ちなのだろう。


「そう、彼は同じ歳なの？」

　やはり間違いないと思いつつ、複雑な気持ちで首を縦に振った。

「そっか。優ちゃんと同じ歳か……」

「はい」

　少しの間、二人の間に沈黙が流れた。

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