恋をしたのは姉の夫だった人
若田との関係を誤解しているのだろうかと少しだけ不安に思うも、普段の行動から優が男っ気がないのは知っているはずなので、それはないかと一人解決する。
それよりも若田が変だ。
あまりに固い彼の様子に「若田君、どうしちゃったの……?」と口にせずにはいられない。
「柊木さんのお義兄さんですから」
「……そうなの?」
基本的に礼儀正しい子であるものの、かしこまり方が異常で不思議に思う。
「お知合いですか?お隣空けますね」
少し前に隣の席が空いたことで、スタッフがタイミングよくやって来ては隣を勧めるので、瑞樹はそこに座った。
隣の席と優の席は近く、瑞樹との距離がぐんと近付く。
心臓が緊張から急にうるさくなるのを感じる。
「優ちゃんの食べているのは何?」
「レディースランチですよ」
「美味しそうだね、でもレディースランチはさすがに無理だな」
瑞樹は肩を竦めて笑うので、優もつられた。
「グラタン食べます?美味しいでよ」
瑞樹はグラタンが好きだと知っているので、つい勧めてしまう。
「え、いいの?」
「はい、お腹もいっぱいになってきましたし。あ、今、お皿もらいますね」
「それでいいよ。ちょっとちょうだい」
瑞樹にプレートを差し出すと、躊躇なく彼は優のスプーンでグラタンを口にした。
よく食事を共にするので、お互いの箸や皿で味見をし合うことは時々ある。
間接キスになるのだが、長期間続いていてそれに対しての感覚が鈍くなっていた。
通常の義理の兄妹ではあまりないことなので、若田が驚いた様子で見つめている。
それに優は気がつかなかったが、瑞樹は感じ取っていた。
「本当だ、美味しいね」
「フフッ、そうですよね。残りは全部食べちゃっていいです。私はもうお腹がいっぱいなので」
「え、いいの?」
「はい、と言ってもほんの少ししか残ってないですが」
苦笑しながら言うと、瑞樹はありがとうと笑顔を浮かべた。
気を付けないと、うっとり魅入ってしまいそうに素敵である。
慌てて目を伏せ、セットに付いてきたコーヒーゼリーを口に入れた。
「優ちゃん、休憩は何時まで?」
「あ、いけない……!あと十分もない」
若田も「本当だ、そろそろ戻らないといけませんね」と、慌てて言う。
残りのコーヒーゼリーを口にかき入れ、立ち上がる。
「お義兄さんすみません、お先に失礼しますね」
「うん。あ、ここは俺が持つよ」
瑞樹はテーブルの会計伝票をさっと抜き取ると、爽やかに笑った。
それよりも若田が変だ。
あまりに固い彼の様子に「若田君、どうしちゃったの……?」と口にせずにはいられない。
「柊木さんのお義兄さんですから」
「……そうなの?」
基本的に礼儀正しい子であるものの、かしこまり方が異常で不思議に思う。
「お知合いですか?お隣空けますね」
少し前に隣の席が空いたことで、スタッフがタイミングよくやって来ては隣を勧めるので、瑞樹はそこに座った。
隣の席と優の席は近く、瑞樹との距離がぐんと近付く。
心臓が緊張から急にうるさくなるのを感じる。
「優ちゃんの食べているのは何?」
「レディースランチですよ」
「美味しそうだね、でもレディースランチはさすがに無理だな」
瑞樹は肩を竦めて笑うので、優もつられた。
「グラタン食べます?美味しいでよ」
瑞樹はグラタンが好きだと知っているので、つい勧めてしまう。
「え、いいの?」
「はい、お腹もいっぱいになってきましたし。あ、今、お皿もらいますね」
「それでいいよ。ちょっとちょうだい」
瑞樹にプレートを差し出すと、躊躇なく彼は優のスプーンでグラタンを口にした。
よく食事を共にするので、お互いの箸や皿で味見をし合うことは時々ある。
間接キスになるのだが、長期間続いていてそれに対しての感覚が鈍くなっていた。
通常の義理の兄妹ではあまりないことなので、若田が驚いた様子で見つめている。
それに優は気がつかなかったが、瑞樹は感じ取っていた。
「本当だ、美味しいね」
「フフッ、そうですよね。残りは全部食べちゃっていいです。私はもうお腹がいっぱいなので」
「え、いいの?」
「はい、と言ってもほんの少ししか残ってないですが」
苦笑しながら言うと、瑞樹はありがとうと笑顔を浮かべた。
気を付けないと、うっとり魅入ってしまいそうに素敵である。
慌てて目を伏せ、セットに付いてきたコーヒーゼリーを口に入れた。
「優ちゃん、休憩は何時まで?」
「あ、いけない……!あと十分もない」
若田も「本当だ、そろそろ戻らないといけませんね」と、慌てて言う。
残りのコーヒーゼリーを口にかき入れ、立ち上がる。
「お義兄さんすみません、お先に失礼しますね」
「うん。あ、ここは俺が持つよ」
瑞樹はテーブルの会計伝票をさっと抜き取ると、爽やかに笑った。