恋をしたのは姉の夫だった人
瑞樹とは心も一緒に外食をすることがあり、その際は毎回彼がお金を出してくれる。
しかし今はまた違う状況であるので、手を大きく横に振った。
「そんな、ダメです……!」
若田も狼狽えながら「そうです、ご馳走になるなんてとんでもないことです」と言う。
しかし瑞樹は伝票を渡すことはない。
「これ、もらったし」
瑞樹はお茶目に笑いながら、優が渡したプレートを持ち上げた。
「そんなのちょっとですよ」
「ちょっとでもだよ」
「でも……」
やっぱり瑞樹は伝票を渡さないでいる。
「いつものお礼だと思って。あと、彼にはいつも優ちゃんがお世話になっているお礼として」
若田はというと「いえ、そんな……」と、戸惑いながら「柊木さん……」と、優を困り顔で見つめた。
「お義兄さん……本当にいいですよ」
「いいよ。代わりに今度、優ちゃんのグラタン食べさせてよ」
「え、はい、それはいいですけど……」
「ありがとう、優ちゃんのグラタンめちゃくちゃ好きなんだ」
好きと言われたのはグラタンである。
それなのに、大好きな優しい笑みで言われるから顔が熱くなった。
「ほら、時間がなくなるよ」
それにハッとし時計を見ると、休憩時間はあと五分となっていることに気付く。
「いけない!お義兄さん、ありがとうございます。ご馳走様です。今夜、ご馳走作りますね」
「ありがとう。期待してるよ」
瑞樹に向けられた笑顔に胸がキュンと締め付けられる。
こんな時なのに、どうしようもなくときめく。
彼を好きな気持ちが溢れ出てしまいそうだった。
若田は店を出ると「よかったんでしょうか……?」と、不安げに顔を歪めた。
「うん、ちゃんとお礼しとくから大丈夫。行こう、遅れちゃうよ」
「あの、柊木さん」
「ん?」
「お義兄さんってあの、柊木さんのお姉さんのご主人なんですよね?」
「そうだよ」
「よくお義兄さんのご自宅に行かれるんですか?」
「あ、うん」
若田には姉が亡くなり、心の面倒をみていることを話している。
カフェなどで、心に土産を買うことも多いので話題になるのだ。
「まだ姪っ子が小さいから気になって」
「そうですか……。それにしてもお義兄さんカッコいい人ですね」
それには少しの間答えに迷い、本心を言うことができずハハッと苦笑した。
しかし今はまた違う状況であるので、手を大きく横に振った。
「そんな、ダメです……!」
若田も狼狽えながら「そうです、ご馳走になるなんてとんでもないことです」と言う。
しかし瑞樹は伝票を渡すことはない。
「これ、もらったし」
瑞樹はお茶目に笑いながら、優が渡したプレートを持ち上げた。
「そんなのちょっとですよ」
「ちょっとでもだよ」
「でも……」
やっぱり瑞樹は伝票を渡さないでいる。
「いつものお礼だと思って。あと、彼にはいつも優ちゃんがお世話になっているお礼として」
若田はというと「いえ、そんな……」と、戸惑いながら「柊木さん……」と、優を困り顔で見つめた。
「お義兄さん……本当にいいですよ」
「いいよ。代わりに今度、優ちゃんのグラタン食べさせてよ」
「え、はい、それはいいですけど……」
「ありがとう、優ちゃんのグラタンめちゃくちゃ好きなんだ」
好きと言われたのはグラタンである。
それなのに、大好きな優しい笑みで言われるから顔が熱くなった。
「ほら、時間がなくなるよ」
それにハッとし時計を見ると、休憩時間はあと五分となっていることに気付く。
「いけない!お義兄さん、ありがとうございます。ご馳走様です。今夜、ご馳走作りますね」
「ありがとう。期待してるよ」
瑞樹に向けられた笑顔に胸がキュンと締め付けられる。
こんな時なのに、どうしようもなくときめく。
彼を好きな気持ちが溢れ出てしまいそうだった。
若田は店を出ると「よかったんでしょうか……?」と、不安げに顔を歪めた。
「うん、ちゃんとお礼しとくから大丈夫。行こう、遅れちゃうよ」
「あの、柊木さん」
「ん?」
「お義兄さんってあの、柊木さんのお姉さんのご主人なんですよね?」
「そうだよ」
「よくお義兄さんのご自宅に行かれるんですか?」
「あ、うん」
若田には姉が亡くなり、心の面倒をみていることを話している。
カフェなどで、心に土産を買うことも多いので話題になるのだ。
「まだ姪っ子が小さいから気になって」
「そうですか……。それにしてもお義兄さんカッコいい人ですね」
それには少しの間答えに迷い、本心を言うことができずハハッと苦笑した。