恋をしたのは姉の夫だった人
 それから二人はキーホルダー売り場で足をとめた。

「好みのものはある?」

「えっと……」

 それほど種類は多くないので、可愛いものは目に入りやすい。
一番に目に付いたのは、アクリル製のペンギンのキーホルダーだった。
しかし、同じものを彼も購入するとなると、易々と口にできない。

「悩むよね」

 優が頷いてみせると、瑞樹は「いいこと考えた!“せーの”で好きなものを指差そう」と提案する。

「え!?」

「ほら、行くよ!」

 彼は続けて「せーの」と言うので、それを指差すと、二人の指同士がぶつかった。
思わず手を引っ込め、拳にしては後ろに回す。
指先がじんじんと熱い。

「ははっ、一緒だ」

 瑞樹が愉快そうに頬を緩めた。

「一緒でしたね……」

 同じく笑顔を見せる優だが、ドキドキから声が上擦る。

「実は優ちゃんの視線を辿っていた」

「えぇ!じゃあお義兄さんの好きなものじゃないんじゃ……。それに、まじまじ見られていたなんて恥ずかしい……」

 恥ずかしさから、唇をキュッと結ぶ。

「いや、でも本当に俺もこれが一番いいと思ってたよ。それに、真剣に選んでた優ちゃんは可愛いかったよ」

 顔が一瞬で熱くなる。
いけない。
きっと、自分の顔は真っ赤に違いない。
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