恋をしたのは姉の夫だった人
いつ見ても心は可愛い。
「心ってば可愛い……」と声に出してしまうほど。
姪の藤原心は、美人だった姉にとてもよく似た美少女。
顔立ちは整い美人なのだが、小学二年生とは思えないくらい大人びた表情をみせることがあり、時々ドキッとさせられるものの、写真の中の心は現在矯正中で少し並びの悪い歯をにかっと見せ、子供らしく笑っている。
早く仕事を終わらせて心に会いに行きたい。
優はというと、終業後や休日になると、心にかなりの頻度で会いに行っている。
今夜もその予定なのだ。
心は、姉の元夫であり彼女の父親の瑞樹と二人暮らしをしている。
姉が亡くなってからというもの瑞樹は仕事をしながら、子育てと家事を頑張っているのだが、彼はここのところ仕事が忙しく、定時であがれないことが続いているために、ほぼ毎夜のごとく優は藤原家に顔を出していた。
顔をにやけさせてスマホの画面を見ること数分、突然更衣室の扉が勢いよく開いて、もう一人の受付の後輩が顔を出した。
「優さん!すみません、助けてください……!」
半泣き顔で優を呼ぶのは、五つ下の春日井理子だ。
彼女はおっちょこちょいな性格で、しょっちゅう優に助けを求めてくる。
これはまた何か問題を抱えている顔であった。
「どうしたの……?」
「ごめんなさい……私、本日午前分のメモを消してしまったんです……」
受付ではミスのないように、顧客情報やスケジュールをPCのカレンダーに入れ管理しているのだが、それを消したとなると問題である。
しかし、相手が慌てている時は、一緒になって心を乱すのはよくない。
小さく息を吐いてから、「完全に消しちゃたの?」と、なるべくゆっくりした口調を意識し尋ねた。
「……おそらく」
目鼻立ちは小さいものの上品に整っている和風美人の理子は、か弱く目を潤ませて優を見つめている。
まるで食べられる前の小動物のようだ。
「三奈ちゃんには話した?」
「いえ、電話中で話せてなくて……」
「そう、わかった。今から行くわ
理子は「すみません」と弱々しく言うので、優は「大丈夫よ」となるべく穏やかに答えた。
どうやら今日は忙しくなりそう。
スマホをロッカーに仕舞い、更衣室からフロントへと向かった。
「心ってば可愛い……」と声に出してしまうほど。
姪の藤原心は、美人だった姉にとてもよく似た美少女。
顔立ちは整い美人なのだが、小学二年生とは思えないくらい大人びた表情をみせることがあり、時々ドキッとさせられるものの、写真の中の心は現在矯正中で少し並びの悪い歯をにかっと見せ、子供らしく笑っている。
早く仕事を終わらせて心に会いに行きたい。
優はというと、終業後や休日になると、心にかなりの頻度で会いに行っている。
今夜もその予定なのだ。
心は、姉の元夫であり彼女の父親の瑞樹と二人暮らしをしている。
姉が亡くなってからというもの瑞樹は仕事をしながら、子育てと家事を頑張っているのだが、彼はここのところ仕事が忙しく、定時であがれないことが続いているために、ほぼ毎夜のごとく優は藤原家に顔を出していた。
顔をにやけさせてスマホの画面を見ること数分、突然更衣室の扉が勢いよく開いて、もう一人の受付の後輩が顔を出した。
「優さん!すみません、助けてください……!」
半泣き顔で優を呼ぶのは、五つ下の春日井理子だ。
彼女はおっちょこちょいな性格で、しょっちゅう優に助けを求めてくる。
これはまた何か問題を抱えている顔であった。
「どうしたの……?」
「ごめんなさい……私、本日午前分のメモを消してしまったんです……」
受付ではミスのないように、顧客情報やスケジュールをPCのカレンダーに入れ管理しているのだが、それを消したとなると問題である。
しかし、相手が慌てている時は、一緒になって心を乱すのはよくない。
小さく息を吐いてから、「完全に消しちゃたの?」と、なるべくゆっくりした口調を意識し尋ねた。
「……おそらく」
目鼻立ちは小さいものの上品に整っている和風美人の理子は、か弱く目を潤ませて優を見つめている。
まるで食べられる前の小動物のようだ。
「三奈ちゃんには話した?」
「いえ、電話中で話せてなくて……」
「そう、わかった。今から行くわ
理子は「すみません」と弱々しく言うので、優は「大丈夫よ」となるべく穏やかに答えた。
どうやら今日は忙しくなりそう。
スマホをロッカーに仕舞い、更衣室からフロントへと向かった。