恋をしたのは姉の夫だった人
「お義兄さんってモテますよね……?」
「え?どうしたの急に……」
「だって、すごく気遣い屋さんですし、優しい……」
(私、何を言っているのだろう……)
口にして、しまったと思ったが遅かった。
「モテないよ、こんなおじさん。ただ俺がモテたいのは一人しかいないよ」
「……」
その存在が自分であるのは、間違いがない。
真っ直ぐに見つめられる視線が熱い。
心臓が途端に激しく波打ちはじめる。
「もし俺が優しく感じるのなら、それは優ちゃんだからだよ」
優しい笑みを浮かべながら、すごいことを言う。
「そ、そんな……」
「本当だよ」
好きな彼にここまで言われて、嬉しくないはずがない。
このまま、私も好きです!と告白してしまいたい。
でも姉は許してくれるだろうか……。
自分が彼を求めても……。
「お義兄さん……」
口が自然に開く。
しかし、その時、彼の電話の着信音が邪魔をずるように“トルルルルルル”と、音を立てた。
「ごめん、仕事用の方だ」
瑞樹は仕事用の携帯を持っている。
休日でも患者の疑問や誤飲した場合の対処に答えられるようにと、薬剤師らが当番で持っているもので、休日や夜に時々かかってくることがある。
患者さんへ話す瑞樹の声は穏やかで、仕事中の彼を覗けた気分になる。
そんな彼の声を聞くのが好きな優。
「あ、出てください」
彼はごめんと言って、片手を上げると店の外へ出ていった。
優は少しホッとしていた。
もし、電話が鳴らなければ間違いなく彼を受け入れようとしていた。
しかし、まるで姉が邪魔したように思えた。
ふと、ガラス扉から見える瑞樹を見つめる。
彼をこれ以上好きにならないなんて、できない。
自分はどうすればよいのだろうか。
重く苦しいため息をはぁっと溢した。
「え?どうしたの急に……」
「だって、すごく気遣い屋さんですし、優しい……」
(私、何を言っているのだろう……)
口にして、しまったと思ったが遅かった。
「モテないよ、こんなおじさん。ただ俺がモテたいのは一人しかいないよ」
「……」
その存在が自分であるのは、間違いがない。
真っ直ぐに見つめられる視線が熱い。
心臓が途端に激しく波打ちはじめる。
「もし俺が優しく感じるのなら、それは優ちゃんだからだよ」
優しい笑みを浮かべながら、すごいことを言う。
「そ、そんな……」
「本当だよ」
好きな彼にここまで言われて、嬉しくないはずがない。
このまま、私も好きです!と告白してしまいたい。
でも姉は許してくれるだろうか……。
自分が彼を求めても……。
「お義兄さん……」
口が自然に開く。
しかし、その時、彼の電話の着信音が邪魔をずるように“トルルルルルル”と、音を立てた。
「ごめん、仕事用の方だ」
瑞樹は仕事用の携帯を持っている。
休日でも患者の疑問や誤飲した場合の対処に答えられるようにと、薬剤師らが当番で持っているもので、休日や夜に時々かかってくることがある。
患者さんへ話す瑞樹の声は穏やかで、仕事中の彼を覗けた気分になる。
そんな彼の声を聞くのが好きな優。
「あ、出てください」
彼はごめんと言って、片手を上げると店の外へ出ていった。
優は少しホッとしていた。
もし、電話が鳴らなければ間違いなく彼を受け入れようとしていた。
しかし、まるで姉が邪魔したように思えた。
ふと、ガラス扉から見える瑞樹を見つめる。
彼をこれ以上好きにならないなんて、できない。
自分はどうすればよいのだろうか。
重く苦しいため息をはぁっと溢した。