柔道金メダリスト、婚活はじめました!〜最後に選ぶのは、幼馴染?元カレ?それとも婚活?
池田の学生時代④
「加藤先輩って遊び人らしいよ。」
「え?柔道部の後輩と付き合ってるんじゃないの?」
「なんか他にも女がいるらしいよ。」
「まぢで?先輩モテるもんね。」
ある日のトイレの中。
女子3人組が先輩と私の話をしているようだった。
先輩と私が付き合い始めてからこういう噂話には慣れた。
トイレに入っている間に自分の噂話を聞くのは、女子あるあるだ。
早く出て行ってくれないかな。
出たくても中々出てないでいた。
しばらく話し終えるまで待っていよう。
そう思っていた矢先だった。
「しかも付き合ってる彼女のこと、女として見れないって言ってたよ。」
え?
どういうこと?
「え?まぢで?最低じゃん。」
私は、気づくと、ドアを開けて、トイレから出ていた。
「それ、どういうことですか?」
「あ、やば。」
彼女たちは、私の顔を見ると、どこかへ走り出してしまった。
嘘だ。嘘。
先輩が私のことを女として見れないなんて嘘だ。
直接先輩に確認するんだ。
そう心に誓った私は、道場まで走った。
道場を覗くと、白い柔道着に大きな背中。
せ、先輩だ!
私は、中へ入ろうとすると、
「ねぇ!お願い!」
先輩の横には、女性がいた。
めぐみさんだった。
女ボスの。
私とは、違い華奢でスタイルの良いめぐみさん。
2人の並びは、絵になっていた。
しばらく2人を見つめていると、めぐみさんが先輩にキスしたのだった。
あまりの衝撃に私は、そこから動けなくなってしまった。
しばらく経ったころだろうか。
足を道場の壁にぶつけてしまった。
「ゆい。」
私は、咄嗟に逃げてしまった。
何故か危険だと感じたのだ。
「ゆい、待って。誤解なんだ。」
私を後ろから追いかけて来た。
彼は、アスリートだ。
すぐに私に追いつくことができるのだ。
彼に腕を掴まれてしまう。
私たちは、対面する。
「先輩、私のこと女として見てないんでしょ?」
「そんな訳ないだろ。」
私は、彼の目を見れないでいた。
「だってあの女の人とキスしてた。」
「それは、誤解なんだ。信じてほしい。」
「信じれる訳ないでしょ。私先輩とは、別れる。別れよ。」
そう言って、私は、必死に走った。
「ゆい。」
私は、彼に女に見れないという理由で別れたのだ。
それからだ。
わたしが同業者と恋愛しなくなったのは。
普段の練習姿を知らない人がいい。
そう思ったきっかけでもあった。