柔道金メダリスト、婚活はじめました!〜最後に選ぶのは、幼馴染?元カレ?それとも婚活?

めぐみside

私は、職場にやってきた。

私が働く新聞社では、社会部門、芸能部門、スポーツ部門など様々な部署がある。

私は、その中のスポーツ部門に属している。

選手たちのインタビューや、実際に試合を見に行き、レポを書いたりなど仕事内容は、多岐にわたる。

「おい!お前、池田選手の寮に行ったのか?」
「はい。行きました。」
「池田選手の父親にインタビュー取れたか?」
「いや、まだです。」
「さっさとしろよ、じゃないと他に取られるぞ。」
「はい。急ぎます。」

私の目の前を上司らしき男と部下らしき男が走っていた。

芸能部門の先輩たちだ。

ここ数日、芸能部門が大忙しなのだ。

柔道オリンピックチャンピョン池田由衣選手の不倫騒動のせいだ。

彼女は、オリンピックチャンピョンでもあり、私の同級生でもあり、そして恋敵でもあった。

もう16年も前の話になるが。

芸能部門の前を通りかかると、1人の男性がテーブルで優雅にコーヒーを飲んでいた。

センター分け前髪が特徴の先輩。

「お疲れ様です、先輩。」

「ああ、笹原か。」

1個上の先輩、加藤おさむさんだ。

「今回の記事、先輩が書いたんですか?」

「そうだよ。」

彼は、私の顔なんて見ずにコーヒーを飲みながらパソコンを見ている。

「最低ですね。まるでハニートラップじゃないですか。」

「仕方なかったんだよ。他にネタがなかったからさ。」

この先輩は、わざわざ自分からゆいちゃんに近づき、仲間に写真を撮らせ、熱愛記事を作った。

挙げ句の果てには、自分が既婚者であることも掲載し、不倫報道にした。

なんと最悪な奴なんだ。

「ハァ」

私は、ため息しかつくことができない。

「お前に言われたくねぇよ。お前の方が悪質だろ。」

先輩は、私にこう言ったのだ。

そうだ。

私の方が先輩よりも最悪なのかもしれない。

これからしようと思っていることは。
< 42 / 44 >

この作品をシェア

pagetop