マフィアの弾丸 II
「……あの、…すみ、ませ…っん、申し訳ありません。その、………
…あ、あの方々、に…非礼な態度で接してしまっていて」
いけない・・・・・。
あまり事態を深刻化させないための修繕だった、今の自分の発言は。
率直に、ストレートに、変にウソを吐けないのが自分のなかの良点であり、欠点。
なんとか要領を得た応対を、自分なりに工夫し口にしてみて。
これ以上の不毛な時間と、誤解を招く状況を長引かせぬべく、無知と取られないよう細心の注意を払って空気を壊す。
・・・・・・変に、気取られぬよう、心構えを引き締めて。
そんな私の姿を見た彼女は、
どう捉えたのか。
いずれにしても吐かれたちいさなため息のなかには、
浮上していた不審さはどうやら、拭われたようだった。
「『全く知らない』、という訳では無さそうね。ふふ、安心したわ。まさか彼の方々がそんな愚かな子を傍に置いているとはおもえないもの」
「『杞憂』…、でしたか」
「竹倉の早とちりね」
「出過ぎた真似を」
くすくす、と。
今度は、ころり表情を覆らせた彼女。
しっとり、微笑んだかとおもえば、一転して挑発的な一笑をつくりあげた目の前の美麗人は、「単刀直入に言うわね」────…そう、不敵に口許を歪ませた。