マフィアの弾丸 II
「…そうね、貴女の知り合いではないわ。でも…、」────…そう、前置きをした彼女は。
ゆるやかに波をもたせたブロンドの横髪を、
耳裏にかけなおしながら気の強そうな眉尻を、さらに、吊り上げ。
「言ったでしょう?彼の方々と関係を持っているのなら話しは別。と。貴女も、
…裏社会の世界を
知っておいたほうが宜しいんじゃなくって?」
「………ぇ、」
「身の程を知れる、いい機会じゃない。ちゃんと彼の方々との今後の付き合い方を、改めるべきなんじゃないかしら」
・・・・・・嗚呼、知ってる、
この感覚。
アレ、だ・・・・・・。
他人を貶めて、自分たちが優位に立とうと見せつける、言い分で、相手の戦意を挫く。
その根底にあるのは、
────…オンナの、嫉妬、侘しさ、孤独。
・・・・・・・だけど。
私に、言い返すだけの器量も根拠もない、
だって私とあの人たちとは、ただの、お昼ご飯の時間を共有する、
ためだけの関係。
何にも無い。
ほんとうに、なんにも無いし、なにも知らない、・・・・・単なる、
(…………………単なる、?)
『単なる』ですら値しない。
なにも、無い。
何も無いじゃん。
じゃあ私は、
なにを、そこまで頑なであれば良いの────…?