マフィアの弾丸 II
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 ────…滑らかに発進された黒塗りのリムジンは、ちょうど前後に
 配下の高級車種たちもつらねて、
 仰々しく高速道路を走行する。


 すぎて行く景観は、
 スモーク硝子(ガラス)越しの車窓からでもよく、映える、
 濃紺に滲んだ彩りの数々。



 もう、夜の(とばり)は降りていて、あっという間に高層ビル街の(そび)えたつ景色は、電光やネオンの色味へと進化を遂げていた。




 ────一方で、そんな外界の科学的発光には興味もしめさない男は。



 サングラス越しに寄越した視線のさきの、男女の情事に、

 宝玉のような闇色の双眸をこれ見よがしに、非難するように(すが)め。


 煙草を咥えなおすと
 面倒そうに、声を立ちあげた。




 「……おい。いつまでヤってる」


 「、ん〜────あア゛?」


 「シート汚す気か。また親父にドヤされんぞ」

 「ハッ、知るか。…アイツだって好き放題に母さんと車中(カー)セックス楽しンでんダローが」


 「───ぁ、ンん、
 ……っ、キッつぃ、あァア」




 車中で繰り広げられる、睦み合いの蜜音。


 ゆるやかな揺れを感じるなか、乗り込んだシートに、深く腰を下ろしながら捉えた光景は、

 カーフェイにとっては、もはや場慣れしたものに過ぎないらしい。



 …しかし、やや鬱陶しげに。

 視線を寄越した彼の、些か不機嫌なこと。




 「────あァ、ん、…アっ、くん」


 「…「アっくん」言うな」

 「ッ、ハッ、あぁ、……アっ、くん」

 「黙れ」

 「っ、アッ、く。んっ」


 「────オ゛ィ、黙っ…ンムッ、」


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