マフィアの弾丸 II
そしてそんな彼の、明確な感情はわからないまでも捉えたのは、その薄い唇の角が
妖艶に上がっているという事実。
カーフェイさんは、あまり喜怒哀楽を得意としない、…のだとおもっていた。
比較的ものしずかで品に溢れて、多少の『怒』や『哀』はわかる
(────表面的かもしれない)のだけれど感情を面に出している姿は、実はそんなに見たこともなくて。
(………だ、から、…あんな、自然、……に仕方なさげみたいな、顔…、)
・・・・・知ら、ない。
彼女が、高まりのままに歓喜してカーフェイさんに抱きついた様は、愛しい恋人にする"ソレ"と、類義のような。
そのうえでそんな彼女をうけとめ『愛しい』とばかりに、口許に弧を描いたカーフェイさんがしっかり、その手をほそい背に回して。
・・・・・・・、
「………………っっはぁ…ッ」
────…吹きつける冷気が、つめたい。
はやく、帰らなきゃ、踵をかえして。
そう、────理性ではわかっているのにからだが梃子でも動かない。
動け、ない。
なんでだろう、この失望感。
付き合ってるワケじゃな、いんだよ?私は特別でもなんでも、無い。
彼の、────…"彼ら"の、
そこまで考えて、そう言えばアーウェイさんがいな、い?
彼はいつも、確か側近としてカーフェイさんの傍にいるのに。
・・・・・・・って、何、
を安堵して、るの?
私、いつから・・・
・・こんな傲慢になった?