マフィアの弾丸 II





 ────『…発車します。ご注意ください』




 ────…そのガイド音声といっしょに、ぷしゅー、という音を立てたバスの扉が閉まり。

 (おもむろ)に重たい車体が起立して、ようやく動きだす。


 頭上で響いた、いつもの、無機質でいてセオリーどおりな音声アナウンスガイド。



 ・・・・・・なんて変わり映えしない、
 常の光景だ、と。

 いつもなら、揶揄(やゆ)のひとつぐらいで
 見逃してたのに。



 今日は・・・・・・・ちがう。



 ふ、と。

 整わない息が、なんだかまともに吸えたような気がした。


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