マフィアの弾丸 II
偽りの仮面舞踏会(すがた) ⅰ
────…見慣れない街並み。
まったく馴染みのない外界の雰囲気。
着いたソコは、一庶民の私には一生懸かってもお目にかかれないであろう、どこぞのリゾート地のような高級ビルディング街。
巨大なショッピングモールや、急斜面に沿ってつくられた最先端の、建築物。
活気あふれて往来する人々でさえもその身なりは、華美に飾られていて。
林立する超高層ビルに、ひときわ目立つ音響に合わせた光と噴水のショーを楽しめる
噴水広場や。
高級ホテル、カジノタワー、世界に名を馳せている有名ブランド・ショップ、ジュエリー・ショップなど。
日本にもこんなに海外を彷彿とさせるシティー・タワーの集合地帯があるのか、と。
驚くほどの圧巻な首都地区の景観を、直に、目の当たりにして。
私は苦水を飲まされたような表情で引き攣った口許を、
なんとか。
心持ち程度に吊り上げていたんだと、おもう、たぶん。
開いた口が、塞がらない・・・、
・・・・・・とはまさに、この事なのだが。
天高く聳えたつ高級ビルディング街が、何棟も。
そればかりでなく、あちこちを走行する車輌ですら一級品とは名ばかりの、
ブランド名がつきそうな高級車まで、ズラリ。
私が先刻まで見ていた駅前での、『高層マンションがうんたら』あたりの件は丸々。
カットしたいぐらいのセレブ街、と言えるんじゃないだろうか。
現在の空模様が硝子に、きれいに反射されているほどに
ぴかぴかに研かれ抜かれたのだろうそのビル群の様ですら、まるで。
…私たち人間を、
見下しているように見えた。
「────こっちよ。さぁ入って」
「……っぇ、」