マフィアの弾丸 II
彼女の行く先々には、必ずそのひとが傍に支えているらしい。
昨晩にも相対した、黒スーツの、壮年ぐらいであろう男性はたぶん
船岡さんの、側近のようなひとで。
その彼によって開かれた荘厳な、西洋式の扉の奥を泰然とした形で
入っていく、彼女の後ろ姿。
後ろ姿を見つめながら、同時に盛大な全体像を捉えた、────あまりに
私には縁も、ゆかりもない
建造物に。
・・・・・・・・、絶句。
咄嗟に、
・・・・・不動。