マフィアの弾丸 II
それに加えて、────…、
「…………っ痛、ぃなぁ」
・・・・・・痛みは、なにも。
緊張からの腹痛・・・・・・だけに限ってるワケじゃない。
ジクジク、と。
いまだに熱もって痛覚を知らしめしにくるのは、両ほうの耳朶から派生したもの。
そこには存在するはずの無いふたつの異物が、
新しい傷穴によって差し込まれてて。
・・・・・開けたことない、
開けるつもりも、無かった・・・・・。
人工的に、手っ取り早く。
保冷剤でキンッキンに冷やされた耳朶に、即席で開けられてしまった、ピアスホール。
アレルギーの有無だとか、ファーストピアスが最初の肝なんじゃないの、とか。
有りふれた知識と情報の見識で阻止しようとする私と反して、そうさせてはくれなかった彼女。
お店に売っているような、よく見るとても簡素なピアッサーで。
私の戸惑い・拒絶反応などお構い無しに気がつけば
ブツリ、────。
むりやり耳に穴をつくらされていた始末。
仕舞いにはその、ピアスホールを安定させる暇もなくひと粒大の、輝くダイヤモンド型ピアスを嵌められてしまい────、
「………っ、痛、…血、が」
鏡のなかの、"偽り"の姿の自分はどこまでも、滑稽なザマだ。
体重を屈め、耳もとを覗きこめば銀色に光る、ピアスの通されたソコに、角度によっては赤い血が見え隠れしたりする。
皮膚と、ピアスの接触面のわずかな隙間には、浮腫んだような赤みも混在していて。
そんな未完成で不様な様すら、・・・・・自分自身を蹴落としにくるかのように腹立たしくて悔しくなった。
「〜〜っっはぁ、っっ…
………もう、イヤだ、な。これ以上、ムリだよ」