マフィアの弾丸 II

偽りの仮面舞踏会(すがた) ⅱ






 ────…ふ、と重たげに上げた目蓋は、逃避したい意思とは反してオートマチック。


 無意識のうちの算段で視界が広げ。

 広がった視野に入り込むのは、どこまでも、凡人に冷たく、…そして新しい世界観。



 捉えた会場内は直に、お目にかかるには到底、莫大な金額が請求されるのだろうな
 空間だ。と気後れしつつも、認識できれば。

 ゴクり。固唾(かたず)を飲んで再三、その景色を網膜に、明確にさせた。




 五つ星シェフなど著名な料理長が設えたような
 食欲と
 見た目(そそ)る、ディナーの飾られた
 いくつもの
 円状テーブルには。

 オードブルやメーン料理、
 豊富なデザートなど。


 見ていて色鮮やかでどれも繊細に、凝った調理物が人々の、邪魔にならない
 程度に点在しており。



 それらを囲んで趣向を存分に、喫している彼らもまた。

 この場に適合するような身なりで、愉しんでいる様子だった。




 胸もとがぱっくり、割れてひらいたブラックの、シックなドレスや。

 ホワイト色調のパンツドレス、フリンジでデザインされたグレーのドレス。


 男性陣は、蝶ネクタイでパリッとキメた紳士服もいれば

 はたまた、斬新なファッショナブル・スタイル、

 セオリーな燕尾(えんび)服だったり。と老若男女問わず、(こと)に、身なりに関しては。



 相当に気合いの入っていることを
 示しているようでもあって。


< 87 / 108 >

この作品をシェア

pagetop