マフィアの弾丸 II





 ・・・・・・たった数日、会わなくなっただけで距離間を違えてしまいそうになる。



 ここから眺める"彼ら"は、たしかに。

 確かに、彼女の言うとおり、私たちとは、何もかもの次元が違って見えるように、感じた。




 こんな大ホールの、シャンデリアだとかテーブルクロスのついた円盤のテーブルとか、
 その上の高額そうな料理だとか『フツー』なら。

 気後れしてしまいそうな豪勢な
 空間の中に居てるのに存在じたいが
 特出している────"彼ら"、・と彼女。




 「……、伊周(これちか)、さん」




 ぽそり。呟いた声は誰も拾わない。

 拾わないから自分の耳に自覚するには、鮮明・で。



 ・・・・知ってる、

 知ってた・・・・、知ってたよそんなコト。



 突き詰められたくない現実に、いざ直面して。

 直面したら咄嗟に、尻込みの()(まさ)って歩みを止めてしまう。


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