マフィアの弾丸 II





 少なくとも招待状を出した覚えのない方だと記憶する。


 そう結論づければ、必然と、美希さんのお知り合いなのだろうと頭で打ちだし。

 そんなふうに、憶測でしかない状況整理で逡巡(しゅんじゅん)しながら首を傾げていた、




 ────…刹那、だ。




 ぴん、と張った空気感。

 それは、周囲の招待客や参列者たちから出たものではなく。




 そう・・・・・・、

 馴染みの彼らが醸した、異様な圧と緊迫感だ。




 「………っ、」



 (…カー、フェイ?アっく、)




 ピシ、ピシピシィッ────。と氷点下にまで下がったような外気温。

 (しも)が、氷柱(つらら)を呼びよせるくらいの、空気の氷結におもわず、あたしの眉間にも皺が寄る。



 ふ、と彼らのほうに視線を移してみれば、ふたりの、この世のモノとはおもえない
 宝石のような異色の双眸たちが────、美希さんの、"ほう"?を、
 すごい剣幕で凝視していた。




 ・・・・・美希、さん?



 ちがう、

 すこし違う・・・・・。


 なら一体、
 ・・・ダレ、を・・・・?




 「────、カーフェ」

 「茉美子(まみこ)様、」


 あたしの声に。

 かぶさるようにして響いた美希さんの、嬉々とした呼び声。



 さすがに今、この場で自分の違和感の払拭を優先させるわけにも、いかず。



 「この度は、
 お誕生日おめでとうございます」と丁重に(こうべ)を下げながら
 祝言を口にしてくれた彼女に、

 あたしも開きかけていた口を閉口するとカーフェイに向けていた視線を、彼女に向けていく。


 しっかり、唇を引き結んで自身を宥めると、

 口角をあげなおし
 「ありがとう、美希さん」────そう、一応の御礼を告げることで
 出しかけた言葉を詰むとした。


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