玉響の一花       あなたにもう一度恋を 三
『滉一、井崎さん!』


2人でパーティー会場を出ると、
外にいた元輝さんとオリヴィアさんが
待っていてくれたので嬉しくなり、
私はオリヴィアさんとハグを交わした


『2人ともお疲れさん、
 せっかくだから一緒にディナーでも
 しないか?』


『俺は構わないがお前はどうしたい?』


「私もお邪魔じゃなければ是非。」


『まあ断られても連れてくけどな?
 じゃあ寒いから乗って。
 Olivia, c'est agréable de pouvoir sortir dîner avec vous tous.』
(オリヴィア、みんなと食事に
 行けるよ、良かったね。)


『Oui, je suis très heureux.
Merci Koichi et Kasumi』
(ええ、とっても嬉しいわ。
 滉一、霞、ありがとう。)


元輝さんの車で、オススメの
レストランに連れてきてもらうと、
筒井さんはお酒が飲めて嬉しそうで
私とオリヴィアは2人をよそに色々と
女子トークを楽しんだ


『じゃあな、残りの2日も楽しんで。
 井崎さん、オリヴィアと沢山
 話してくれてありがとう。』


2人とハグを交わしホテルまで
送ってもらうと、車が見えなくなるまで
筒井さんと見送った。


誰も知らない場所に降り立つのは
とても勇気がいる‥‥


甘え過ぎてはいけないけど、
2人の存在がとても大きくて温かくて
頑張ろうと進む気持ちの背中を
押してくれたと思う


『ほら、寒いから中に入ろう。』


「はい、そうですね。」


手を繋いで部屋に向かうと、すぐに
暖房をつけて浴槽にお湯を張り、
いつものように交代で入った後、
温かいお茶を飲みながらソファに
腰掛けた。


パーティー‥‥あっという間に
終わってしまったな‥‥


短いけれど、とても濃い時間を過ごした
気がする。


日本の受付をしながら、英語を時々
使うこともあるし、フランス語も
稀に使ったとしても数分のことだけど、
こんなにも何時間もフランス語に
囲まれて過ごせたことは私には
とても大きなことだった。



『さぁもう寝るぞ‥‥どうした?』



手を引かれて2階に連れて行かれると、
部屋が程よく温かくて、着ていたカーディガンを脱ぎベッドに潜り込むと、
自分から筒井さんの腕の中に入り
抱きついた


「2日間緊張してたので、終わって
 ホッとしてるんです‥‥なので
 少しだけ甘えさせてください。」
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