玉響の一花       あなたにもう一度恋を 三
何故だか急に触れたくなり、
普段は自分からなかなか出来ないけど、
筒井さんの温もりに包まれたかったのだ


『フッ‥‥それだけでいいのか?』


えっ?


耳元で囁かれた後、その吐息に
ブルっと体が震えると、耳朶を甘噛み
され、筒井さんの襟元をギュッと強く
握りしめた


「あ、明日お出かけするんですよね?
 早く寝ないとダメ‥ッ」


『俺はお前とキスしたいけど、
 したくない?』


ドクン


心臓が筒井さんの一言でどんどん
早くなるのが自分でも分かる‥‥


「‥‥‥筒井さん‥‥ズルいです」


『こら‥‥今はもうオフだろ?』


筒井さんの親指が私の唇を端から
ゆっくりとなぞると、私の唇を開くように下にグッと押すと、そのまま深い
キスを落とされ、私を仰向けに
寝かせると更にその深さが増した


何度も角度を変えて深く落とされる
キスをして欲しかったのか、自然と
筒井さんの首に両手を回すと、
ダウンタイムを与えてくれた後、
暫く深いキスと絡められていく舌に
身を任せた



「ンッ‥」


息苦しさはないものの、すっかり
体の力が抜けて起き上がれない私は、
うっすらと開けた先に私を見下ろす
綺麗な顔をした筒井さんを見て笑った


『‥‥どうした?』


おでこにかかっていた前髪を撫でてそこに唇を落とされると、筒井さんも
わたしを見てフッと笑っていた


「‥‥も‥もう‥しませんか?」


『‥‥‥‥おまえ』


「う、嘘です!!もういいですから」


雰囲気に流されて、自分でも何を
突っ走って口にしてしまったんだろう
と後悔してももう遅く、両手で顔を
覆うことしか出来ないでいる


筒井さん引いたよね‥‥


仕事で来てるし、イベントが終わった
からと言って自分からこんなこと‥‥


「キャッ!‥‥なに‥?」


片手で私の両手を頭の上に押さえ付け
右手で横に背けた顔を上に向けられ、
真っ赤であろう顔をもう隠せなくて
瞳を閉じた


『お前ってやつは‥‥我慢してたのに。
 ‥‥‥‥このまま抱いていいか?』


筒井さん‥‥‥


チュッっと唇に軽く筒井さんがキスを
落とすと、恐るおそるゆっくりと
瞑っていた瞳を開けてみた


ッ!!!


余りにも近い位置に筒井さんの顔面が
ドアップで映し出され、ビックリして
目が飛び出そうになるものの、構わず
鼻の頭や瞼などにキスを落としては
クスクス笑う筒井さんに震えながらも
口を開けた


『可愛いことするじゃん‥‥
 悪いが今日は簡単に終われそうに
 ないから覚悟しろよ?』


「えっ!?嘘!?‥ンンッ!!!」
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