玉響の一花       あなたにもう一度恋を 三
会社員とは思えないほどの声量は、
ここが球場かのような熱も感じ、
筒井さんをハグしながらバンバン背中を
叩く姿を佐藤さんと唖然として見ていた



『もういいだろう?
 拓巳は急ぎの用件が入ったから
 上で待ってる。』


『日本だとお前は固いんだよ。
 あっ、お前も向こうで仕事してた
 オリヴィアも連れて来たから、
 1週間よろしく頼む。』


迫力のある元輝さんに気を取られて
いて華奢な女性に気付かなかったけど、
筒井さんと笑顔でハグをすると、
頬にキスを落とした


こんなことが前にもあって、
1人で落ち込んで勘違いしてたけど、
やっぱり見ると胸が少し痛む


オリヴィアさんは、スラットしていて
背も高く、キャラメルブラウンの
髪と瞳がとても可愛らしい方だ。


『Cela fait un moment. comment as-tu été?』
(久しぶり。お元気でしたか?)


『Bien sûr. Vous êtes toujours aussi cool et attirant.』
(もちろんよ。貴方は相変わらずカッコよくて魅力的だわ。)


『merci. Je suis très heureux que vous soyez venu au Japon. S'il vous plaît, profitez de votre temps.』
(ありがとう。日本に来てくれて
 嬉しいよ。楽しんで
 過ごしてくださいね。)


筒井さんとオリヴィアの会話の意味が
分かってしまうからこそソワソワ
してしまっていると、元輝さんと
目が合った。


『Je suis surpris que les mains soient encore plus belles que ce à quoi je m'attendais. Parlons plus lentement plus tard.』


えっ?


もう一度元輝さんにハグをされると、
頬に軽くキスをされてしまった。


『元輝、ここは会社だ。
 迷惑になるようなことは
 控えて欲しい。井崎さんもすまない。
 悪気はないので許してほしい。』


「あ、は、はい!大丈夫です。」


今度ゆっくり私と話したいって‥‥
いくらフランス語だからって、
オリヴィアさんには伝わるから、
どうしていいか分からずとにかく
頭を下げて3人を見送るしか
できなかった
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