玉響の一花       あなたにもう一度恋を 三
『これからも色々なお前をこの目で
 見てみたい。我儘を言ったり、
 怒ったり、ふざけたり‥とかな‥。』


「ふふ‥‥私もです‥‥。
 筒井さんにも我儘言って欲しいです。
 何かありませんか?」


『十分我儘でお前を困らせて来た
 はずなんだが‥‥そうだな‥‥
 まずはその敬語を辞めたらどうだ?』


「えっ!?」


まさかそう来るとは思っても見なくて、
筒井さんの顔を見ながら思いっきり
嫌な顔をしてしまった


敬語を辞める‥‥って‥‥
何年間もそれが当たり前に過ごして
きたから急に言われてもな‥‥


「ぜ、善処‥します‥」


『フッ‥‥なんだそれ‥‥。
 無理にとは言わないが、せめて
 仕事じゃない時くらいは、お前の
 上司ではいたくないからな。
 マイペースなお前には時間が
 かかるかもしれないから‥‥
 名前で呼んでもらおうか?』


「名前ですか‥‥?」


それなら出来そうな気がする‥‥


筒井さんに時々呼んでもらう自分の
名前にだってくすぐったくなるけど、
そんな事でいいならしてあげたい


「滉一さん‥これからもよろしく
 お願いします。」


笑顔で筒井さんを見上げてそう言うと、
驚いたように固まった筒井さんに
グイっと引き寄せられ、いきなり
深いキスを落とされた。


「んっ‥‥んん‥筒井さ‥‥」


『フッ‥‥戻ってるぞ‥‥』


「えっ?‥‥あ‥ふふ‥滉一さん?」


舌先を吸われた後にそう答えると、
ニヤリと笑った筒井さんが私を抱き
抱えて立ち上がった


『明日は休みだしな‥‥もう一個
 我儘を聞いてもらうぞ?』


「えっ!?な、何言って‥‥えっ!?」


そのままベッドの上で組み敷かれ、
経験したことないような甘い痺れに
意識が朦朧とするまで抱かれ、
突き上げられる深い律動やとろける
ようなキスに溺れていき、次の日
起きたら昼過ぎでそれにも驚いた



今までだって何度も抱いてもらったのに、知らないことがまだこんなに
あったなんて‥‥‥


私が眠っている間に、ジョギングに
余裕で行っていた筒井さんに、
我儘を聞きすぎるのは辞めようと
起き上がれない体をさすりながら
ついつい笑ってしまった。 
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