玉響の一花       あなたにもう一度恋を 三
暫くパソコンに入力作業をしていると、
エントランスに止まった黒塗りの高級車
から降りて来た人物に、立ち上がり
お迎えの姿勢を取り、入り口が開いたと
同時に佐藤さんと丁寧にお辞儀をした


「Bonjour Josh.
Comment as-tu été? Je suis très heureux de vous rencontrer.」
(ジョシュ様こんにちは。お元気で
 いらっしゃいましたか?お会いできて
 とても嬉しく思います。)


カウンターから出て、目の前まで
行くともう一度綺麗なお辞儀を心がけた
後、笑顔でジョシュ様を見上げた。


ネイビーのスーツにクリーム色の
ストライプが施されたスーツが
よくお似合いで、以前よりも少し
大人びた雰囲気さえ感じる


『Kasumi! ? J'ai été surpris.
Cela s'est avéré très beau.
 J'avais hâte de vous revoir.』
(霞!?驚いたな‥とても綺麗に
 なっていて‥。君に会えるのを
 僕も楽しみにしていたよ。)


柔らかいハグをした後、頬を軽く
お互い触れさせ挨拶すると、もう一度
抱きしめられてしまった。


「Le président vous attend, je vais donc vous montrer votre chambre.」
(社長がお待ちですので、お部屋まで
 ご案内させて頂きますね。)


ニコニコと嬉しそうに笑うジョシュ様に
そう伝えると、腰に手を当てられてしまい苦笑いを出さないようにエレベーター
ホールに向かった。


海外だと普通の挨拶だと分かっていても
筒井さん以外の男性との密着には
変に緊張してしまう


2人でエレベーターに乗り込むと、
最上階に着くまでの間もずっと
腰に触れている手が気になりつつも、
姿勢は崩さず笑顔を心がけた。


ポーンという合図と共に扉が開くと、
視界に入って来た筒井さんにハッと
しつつも、お辞儀をした。


「筒井さん、お疲れ様です。」


『お疲れ様です‥‥』


顔色一つ変えないところは、
筒井さんらしいけど、この3人の
空間に少しだけホッとしてしまう。


「何階まで行かれますか?」


今朝会ってるから、着ているスーツ
姿だって見てるのに、社内で見ると
素敵さが何倍にも増して見えるのは
私だけの特権だ
< 81 / 130 >

この作品をシェア

pagetop