忘れられるはずがない〜ドクターに恋して〜

キャンプ場

清涼飲料水だろうか、葵は甘い味がするものをペットボトルから飲ませれた。

「薬だ。これを呑んだら少し楽になるから」

そう言うと彼は錠剤を葵の舌の上に2錠のせた。
しばらく目を閉じる。

体を揺さぶられ目を覚ます。その都度、薬だという錠剤を口に入れられ、水分を取らされる。

小屋の中なのだろう。ストーブの前に葵は寝かされている。
彼は懐中電灯を手に室内を歩き回っているようだった。

寒さはもうないはずなのに、体がブルブル震える。その様子に気がついたのか、彼は毛布の上からまた重たい布団のようなものをかぶせた。


濡れたタオルで体や顔を拭われる感覚に目を覚ます。そのまま水分を取らされた。
柔らかく煮たような麺を口の中に入れられる。吐き出そうとする葵に、「一口だけでいいから」と無理やり口の中にその固形物を含まされた。そしてまた錠剤を口に入れられた。

数時間ごとに目を覚ます。また水分を取らされる。
ストーブの火が室内を照らしている。

しばらくすると体が熱くなり、汗をかいていることに気がついた。どれくらい眠っていたんだろう。彼の姿を探すが、そばにはいないようだった。
近くに置いてあったペットボトルで水分を取り、また目を閉じた。

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