忘れられるはずがない〜ドクターに恋して〜

職場復帰してから、祖父(会長)の片腕として働いてきた笹野さんが主体となり、葵はお爺様の権限を最大限利用して若い社員を取り込んだ。

笹野さんは若手社員からの人望も厚くすぐにチーム笹野が秘密裏に結成された。
長年の癒着や、付き合いでという「なぁなぁ」の関係を一掃して新しく久徳リゾートを蘇らせる。
葵はまさに命がけで上役たちを追い込んだ。
この古い体制を改革してやる。

チーム笹野の会合で、葵がシンガポールへ移動になる事が知らされる。
今後外国客の集客に力を注ぐ必要が課題となる。先を見越しての配置転換だと説明された。

決起集会を催した後、皆で2次会へという話になったが時間も遅いので葵は先に帰ることにした。

チーム笹野のメンバーは同じ目標に向かって信念を持っている者たちばかりだった。

葵はほろ酔いの気持ちの良い気分で、自分のマンションへの道を歩いて行った。

一度死にかけた自分はもう何も怖くないそんな気がしていた。


翌朝新聞に記事が載った。

昨夜9時頃、路上で20代の女性が背中を包丁で刺された殺人未遂事件が発生した。
女性の手や腕などに身を守るときにできる傷がなかったことが捜査関係者への取材でわかった。
女性は警察に「無言で襲われた」などと話しているという。
警察は、犯人が女性が抵抗する間もなく、背後からいきなり襲ったとみている。
現場近くの商業施設の防犯カメラには女性の後を歩く不審な人物が写っていた。道警は犯人が背後から近づき、急襲した可能性があるとみて、捜査している。

被害者の氏名が載らなかったのは、先日マスコミを騒がせた人物。九死に一生の女性だったことを配慮しての事だった。





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