忘れられるはずがない〜ドクターに恋して〜

仕事もないし、友達もいない環境でずっと引きこもっているのも癪だ。
葵は習い事でもするかとスポーツジムに通いだした。

中国雑技団なみに体が柔らかいという特技を活かして、ヨガを習い始める。
葵は、ヨガのインストラクターの資格を取れるレベルまで、ヨガが上達してしまった。

毎日ジムに通ってヨガをやっていたので、スポーツジムの経営者と仲良くなった。

彼は若い経営者で国内に5つのジムを持っている。海外進出も考えているらしく葵は仕事柄相談にのることも多かった。

シェイン・ホウ氏は中華系のシンガポール人で35歳だという。

葵を食事に誘ってくれる時は必ず花束をプレゼントしてくれる。お姫様のような扱いに誰でもうっとりするだろうと思った。

今日はお寿司屋さんに連れて行ってもらって、外国人の「寿司食べる時に醤油つけすぎ」問題について語り合った。冗談も言い合える友達として彼とはとても気が合った。

意外とこの生活も楽しかもと思い始めた頃、会社の笹野さんから連絡が入った。

私を襲った犯人が捕まったという報告だった。

詐欺グループのひとりで別件で逮捕された時にDNAが凶器のナイフの物と一致したらしい。

やっと、やっと日本に帰れる。
葵は急いで祖父に直接電話で確認した。

葵が出国してからすでに半年が経過していた。



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