忘れられるはずがない〜ドクターに恋して〜

太一

日本でこのレベルの部屋を借りようと思ったら、相当高いだろうなと天井を見ながら太一は考えた。

1LDKだとはいえ、どんだけあるんだこの広さと思えるほど部屋は広かった。
フットサルできんじゃね?と思わず呟いたほどだ。

彼女はただのOLだと思っていたが、ふたを開けたら深層の令嬢。大手の企業創設者の孫娘だった。

ただの過疎化が進行している田舎町の診療所の医者ごときが手を出せるような立場の女じゃなかった。

それは命が狙われるくらい。そして海外に何ヵ月も身を隠すことができて、働かなくても何不自由なく生活ができるくらいにお嬢様だった。

隣で静かに寝息を立てる彼女を見つめた。

救助されてから、葵がどれだけ金持ちの家の出なのかを知った。
何度か連絡をくれたし会いに来てもくれた。自分に好意があるのは確かだし、そこは同じように俺も葵を愛している。

昨夜は水を得た魚のように俺は彼女を求めた。
交感神経が興奮状態になり、副腎皮質より分泌されるホルモンが、血中に放出され、心拍数や血圧を上げた。
簡単に言えば、俺はめちゃ興奮した。

食べてしまいたいぐらい彼女を抱きしめ撫で、口で愛撫しまくった。何度も声が涸れるほど彼女を達かせた。

だけど、事が終わり、疲れ果てて眠りにつく彼女の横で、自分は一睡もできなかった。







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