人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 しかし、次の日もその次の日も、うさまるは私の元には戻ってこなかった。

 桜の木の花が散り、徐々に減ってゆく。もうすぐ暖かくなる季節だというのに、私の心は冷たいままだ。

 うさまるを待ち続けて三日目の夜、避難所で炊き出しの夕飯を準備していると、祖母が私に話してくれた。

俊嗣(しゅんじ)がうちに来ないかって」

「俊嗣伯父(おじ)さんが?」

 俊嗣伯父さんは亡き父の兄で、祖母にとっては長男である。

「そう。家のあった場所は土砂の撤去作業と、裏山の補修作業が必要で、あの土地に家を建て直したら、住むまでに三年はかかるって言われてしまって」

 そう言う祖母は、目に涙を溜めている。それをハンカチで拭い、私に気丈に笑顔を向けた。

「芽郁ちゃんも来年は受験生だし、避難生活じゃ大変だろうからって。俊嗣も、芽郁ちゃんのこと心配してくれているのよ」

「うん、分かった」

 私は複雑な心の内を隠すように、素直に頷いた。
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