人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 愛入ちゃんとふたりきりになる。すると、急に愛入ちゃんが言った。

「芽郁さんは、羽田一尉と帰るんだよね?」

「うん、そうだよ。せっかくだから、一緒に帰ろうって約束してるんだ」

 はにかみながら答えると、愛入ちゃんはなぜか嬉しそうににこにこする。

「どうしたの?」

「芽郁さんは羽田一尉と仲良しでいいなぁって」

 愛入ちゃんは、そう言いながらちょっとだけ頬を赤くした。

「私ね、学校に好きな子がいて、芽郁さんみたいについ見ちゃうんだ。だからそのうち、私も一緒に帰ったりできたらいいなぁって、思ったの」

 あまりにも微笑ましい理由に、私もつい微笑んでしまう。愛入ちゃんの目に、私と勇朔さんはそんなふうに仲良く見えているんだ。

「あ、この話はママにもパパにも、琉人にも絶対言わないで」

 思いだしたようにはっと愛入ちゃんが言う。
 私は「もちろん」と返事をしながら、小さな少女の恋が成就しますようにと心のなかで願った。
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