人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「芽郁さんは、羽田一尉の婚約者なんだよね?」

「うん、そうだよ」

 答えながら、ちらりと左手を見た。勇朔さんにもらった婚約者のしるしが、キラキラと輝いている。

「ふたりは、いつ結婚するの?」

「え?」

 思わず疑問符で返したけれど、愛入ちゃんは目をキラキラさせながら空を眺める。

「私、結婚式行ってみたいの! 芽郁さんならきっとドレス姿も綺麗だし、羽田一尉の正装姿もかっこよかったし。結婚式でも、羽田一尉はあの格好するんでしょ?」

「そうだね、かっこよかったね」

 言いながら、私は視線を泳がせた。
 泳がせながら、私たちは本当にいつか結婚するのだろうかと、疑問が浮かんだ。思わず苦笑いがこぼれる。

 すると、向こうの方にいた女性と不意に目が合った。

 すごく、綺麗な人……。

 ローズピンクのドレスはこの会場の誰よりも華がある。だけど、上品にまとめ上げた黒い髪が、品を醸していやらしさを感じさせない。

 彼女はにこりとしながらこちらに会釈をした。私も会釈を返したけれど、あんなに綺麗な知り合いなんていたかな、と頭を働かせた。
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