人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています

　両親が亡くなったとき、私を引き取ると真っ先に手を挙げてくれたのも俊嗣伯父さんだった。そのときは私がどうしてもうさまると一緒がいいとわがままを言ったせいで、結果、祖母の元で暮らすことになった。俊嗣伯父さんの息子、啓嗣(けいじ)くんが動物の毛アレルギーなのだ。

　今回、私を祖母ごと引き取ってくれるということは、うさまるは諦めなきゃいけないということ。

　あの頃は、わがままを通した。だけど、二度もわがままを通せないことは分かる。もう、十四歳なのだ。生きていくのに、誰かと共に生きるのに、切り捨てなきゃいけないことがあるのは仕方ない。俊嗣伯父さんは優しく、こちらに手を差し伸べてくれているのだから。

　それに、うさまるはもうきっと――。

「明日、迎えに来てくれるから」

「うん……」

　私は公民館の中から、家のある方向を見つめた。うさまるに、別れを告げなきゃいけない。