人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「睦姫さん、そろそろ」

 私がなにも言えぬ間に、彼女はやってきた男性に呼ばれ、行ってしまった。

 私は頭の中で、今までに勇朔さんから聞いた彼の夢を思いだしていた。

『自衛隊幹部になって力をつけ、上官になって〝人の心まで守る〟自衛隊を作りたいと、今はそう思っています』

 勇朔さんは、上に行きたいと思っている。そのために、彼は幹部自衛官になった。
 なのに、私に一目惚れしたせいで、その夢に遠回りさせてしまっているのかもしれない。

 私と出会わなければ、睦姫さんと結婚していれば、勇朔さんは今、もっと上の官職に就けていたのかもしれない。
 それだけでも勇朔さんの夢を奪っているのに、私は今、勇朔さんを利用して人探しをさせている。
< 112 / 178 >

この作品をシェア

pagetop