人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「芽郁さんは、羽田一尉を利用してるの? 悪い人なの……?」
愛入ちゃんが考え込む私の顔を覗き込む。はっとして、慌てて笑顔を浮かべた。
だけど、私は純粋な愛入ちゃんの瞳を直視したまま「ちがうよ」とは言えなかった。
「そう、なのかもしれない……」
微笑んだはずの頬は元に戻り、そんな言葉が口から漏れた。
「芽郁さんは、羽田一尉が好きなんだよね? 大好きなんだよね?」
愛入ちゃんにじっと顔を覗かれ、目頭が熱くなった。
好きだ。好きになってしまった。
だから、彼を利用するようなことをしている自分が許せない。自分が彼の夢を奪ってしまっているのが、悲しい。
ぐっと下唇を噛み、涙をこらえ、私は口を開いた。
「こんな悪い大人になっちゃ、ダメだよ?」
私がそういったとき、春海さんと琉人くんがお手洗いから戻ってくる。ロビーには、第二部開演を知らせる予鈴が響いた。
ホール内へ戻っていく三人。私はこれ以上ここにいたらダメだと、三人に背後から声をかけた。
「すみません、急用を思いだしたので帰りますね」
それから私は振り返らずに、ホールを飛び出しやってきた電車に飛び乗った。
愛入ちゃんが考え込む私の顔を覗き込む。はっとして、慌てて笑顔を浮かべた。
だけど、私は純粋な愛入ちゃんの瞳を直視したまま「ちがうよ」とは言えなかった。
「そう、なのかもしれない……」
微笑んだはずの頬は元に戻り、そんな言葉が口から漏れた。
「芽郁さんは、羽田一尉が好きなんだよね? 大好きなんだよね?」
愛入ちゃんにじっと顔を覗かれ、目頭が熱くなった。
好きだ。好きになってしまった。
だから、彼を利用するようなことをしている自分が許せない。自分が彼の夢を奪ってしまっているのが、悲しい。
ぐっと下唇を噛み、涙をこらえ、私は口を開いた。
「こんな悪い大人になっちゃ、ダメだよ?」
私がそういったとき、春海さんと琉人くんがお手洗いから戻ってくる。ロビーには、第二部開演を知らせる予鈴が響いた。
ホール内へ戻っていく三人。私はこれ以上ここにいたらダメだと、三人に背後から声をかけた。
「すみません、急用を思いだしたので帰りますね」
それから私は振り返らずに、ホールを飛び出しやってきた電車に飛び乗った。