人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています

3 大好きな人のために

 家へ向かう電車に揺られながら、私は決意を固めていた。

 私の存在が勇朔さんの邪魔になるなら、私は勇朔さんのそばにいるべきじゃない。人探しをさせて負担をかけてばかりなら、私は勇朔さんのそばにいないほうがいい。

 それに、人探しはひとりだってできる。今までだって、そうしてきたのだ。

 先に会場を抜けたのは、勇朔さんに会ったら決心がぶれてしまいそうだったから。それに、彼に止められてしまったら元も子もない。勇朔さんは、きっと私を逃してはくれない。

 帰宅し、ドレスを脱ぐ。私服に着替えた私は、とりあえず必要なものを鞄に突っ込んだ。
 大きな家具は後ほど運べばいい。今は、手帳に財布にスマホ。
 それから――。

 私はベッドサイドに置いていたうさまるのプレートと、うさまるみたいなぬいぐるみを手に取り、鞄に入れた。
< 114 / 178 >

この作品をシェア

pagetop