人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています

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　懐かしい緑の匂いがする。
　私は、あの日土砂崩れに遭った、中学までを過ごした街に戻ってきた。

　土砂崩れで潰れてしまった祖母の家のあった地区は、土砂の撤去作業後、裏山に崖崩れの防止工事が施され、土砂崩れの二年後には新しく家が建てられ始めたらしい。
　私は祖母とそこを離れてしまったし、伯父ももう祖母の土地は売ってしまったので、ここに来たのは本当に久しぶりだ。

　時間は午後十時を過ぎたところ。
　駅の改札を出ると、最終バスの出るぎりぎりの時間だった。

　慌てて乗り込んだバスの中、乗客は私ひとり。窓に映った自分の顔はひどく腫れぼったくて、ほかに誰もいなくてよかったと思った。